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周囲/当事者の方へ

2021/07/29

うつ病当事者家族の良くある疑問 「頑張れと言ってはいけないのはどうして?」

はじめに

家族がうつ病になった時に、少しでもできることはないかと考え、うつ病について勉強される方も多いと思います。その中でよく出てくるのが、「頑張れと言ってはいけない」という注意喚起です。「うつ病で苦しんでいる中でも精一杯頑張っているのだから、これ以上頑張れというと当事者が『もっと頑張らないといけない』と焦ってしまうから」という理由で説明されていることが多いでしょう。

では、当事者の背中を押してあげたいとき、何と言ってあげればいいのでしょうか?
また、怠けではないと分かりつつもつい「そこは頑張ってよ」と思ってしまうことはないでしょうか?
前は「頑張ってね」と言って応援してきたのに、今後もずっと禁句なのでしょうか?

今回は、「頑張れと言ってはいけない」という注意喚起について、3つの観点で深めてみたいと思います。

「頑張れが禁句」な時期は?

実はうつ病の方に頑張れと言ってはいけない時期があります。それは、急性期です。急性期と言うのは、うつ病の発症初期の一番症状が苦しい時期のことです。急性期はまだストレスにさらされている状態であることが多く、かつ当事者も病気であると気づいていない、または受け入れにくい時期でもあります。

急性期に周囲から叱咤激励をされてしまうと、「やはり自分の努力が足りないのだ」「もっと頑張らなければ」と考え、出来ない自分を責めて焦ります。しかし、急性期の症状に対して、個人の努力で対処することは困難です。焦りに反して意欲はわかず、体も動きません。ますます自分を責め、うつ症状が悪化するループに陥ってしまいます。

この時期に必要なのは、頑張ることではなく、気を緩めて休養することです。急がば回れという言葉がありますが、うつ病の急性期への対応はこの言葉がぴったりです。まずは家族が頑張らなくてもいい時期であることを認識し、気長に治療に取り組む気持ちが大切です。

回復期では励ましが効果的なことも

では、ずっと頑張れが禁句なのかと言えば、決してそうではありません。休養と服薬治療の時間を十分に取ってうつ病の急性期を乗り越えると、徐々に症状は緩和されます。体が動くようになり、意欲も戻ってきますので、自分の意思と連動して活動ができるようになります。この時期を、回復期と言います。

一方で、長い休養期間を経て、体力が低下したり、頭の回転が鈍っていたりするので、社会復帰後のためのリハビリが必要になります。生活リズムを整える、体力・集中力を戻す作業に取り組む、社会復帰後の振る舞い方を考え直す、など様々ありますが、当然負荷がかかります。しかし、仮に些細なことで疲れる自分に直面して落ち込んだとしても、これを避けて通ることはできません。なぜなら、負荷に慣れ自分の振る舞いを考え直しておかないと、社会復帰後にさらされるストレスに対応できず、再発してしまう可能性があるからです。

回復期は、当事者が自分の行動がリハビリになっているのか不安になるので、励ましの言葉は当事者の力になります。ただし、その言い方にはポイントがあります。

行動する前ではなく、当事者が何か行動をした後に「頑張ったね」と伝えることです。

症状がある中でもできる範囲の努力をし、その結果を周囲に認めてもらえるのは嬉しいものです。そのためにも、当事者ができるくらいの適度な目標を立て、それを達成して実績を積んでいくことが大切です。しかし、適度な目標を立てるのはとても難しく、頑張り屋である当事者だけで考えると焦って高い目標を立ててしまいがちです。主治医やカウンセラー、社会復帰の相談に乗ってくれる人と連携し、第三者の客観的な視点を入れながら進めていくようにしましょう。

「動きたいのに動けない」の葛藤は、当事者に強く残っている

うつ病の方の支援に携わっていると、繰り返し聞く言葉があります。

それは、「あのうつが苦しかった時に戻りたくない」という言葉です。

うつの辛さは体と心に現れますが、急性期の辛さは想像を絶します。わけもなく気分が落ち込み、動かしたくても体は動かず、周囲の人に迷惑をかけているという思考が頭から離れません。自分の思いとは裏腹に、「動きたくても動けない」という葛藤に苛まれるのです。そんな辛い状態からなんとか抜け出したとしても、葛藤は当事者の中に強く残っています。この背景を理解しないまま安易な励ましすると、「頭では分かっている」「それができたら苦労しない」という怒りを招きます。

心配する気持ちが不安になり、焦ることで忘れてしまいがちですが、一番頑張りたいのは当事者であることを心に留めておいてください。

まとめ

いかがだったでしょうか?

励ましは、うつ病を抱える当事者の回復段階によって、毒にも薬にもなります。当事者が抱える葛藤を理解し、状態を見ながら伝える言葉を考えていきましょう。もし判断に迷うようであれば、当事者の支援に関わる専門家にアドバイスを求めてみましょう。

「何を言ったかではなく、誰が言ったか」というのはよく聞く言葉ですが、これは励ましにも当てはまります。同じ「頑張れ」の言葉でも、理解のない人から言われる言葉と、苦しかった時期を一緒に乗り越えてきた人の言葉では重みが違いますし、むしろ大きな力になることもあります。苦しい時期を一緒に過ごす家族だからこそ、心からの励ましの気持ちを、当事者の力になるように伝えてもらえたらと思います。

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