不妊治療は、心にも体にも、そしてお財布にも大きな負担がかかる挑戦です。 「今回こそは授かるだろうか」という期待と落胆の繰り返し、膨らんでいく費用、仕事との両立……。気づけば頭の中が治療のことでいっぱいになり、冷静さを失いそうになっていませんか?
メンタルヘルスの不調を感じていても、「抗うつ薬などの薬を使ったら、授かる子供に悪影響があるかもしれない」という不安から、誰にも言えず一人で痛みを抱え込んでいる方も少なくありません。
不妊治療中の不安は、決してあなたの心が弱いからではありません。今回は、治療中に心が崩れてしまう背景を整理しながら、不安に飲み込まれずに「うまく付き合っていく方法」を考えてみましょう。
知っておきたい、メンタルが揺らぐ「3つのパターン」
不妊治療中にメンタルヘルスに支障をきたす背景には、大きく分けて3つのパターンがあります。「自分はどこに当てはまるだろう」と客観的に見るだけでも、少し心が落ち着くことがあります。
- ① もともとの既往歴が影響しているケース 過去にうつ病などの気分障害を経験したことがあり、不妊治療のプレッシャーやホルモンバランスの変化が引き金となって再発・悪化してしまうパターンです。
- ② 治療そのもののストレスによるケース それまでメンタルの不調を経験したことがなくても、不妊治療のステップアップ、痛みを伴う処置、結果が出ないことへの焦りなどが直接の原因となって気分障害を発症するパターンです。
- ③ 周囲との関係性のストレスによるケース 度重なる通院のためのシフト調整や職場の理解不足、あるいはパートナーとの温度差など、治療を取り巻く環境や人間関係の歪みが原因で心が折れてしまうパターンです。
どのパターンであっても、あなた自身のせいではありません。それほどまでに、不妊治療は人生を揺るがす大きなイベントなのです。
不安は「無くす」のではなく「付き合う」もの
このような状況下で、「不安を一切無くそう」とするのは逆効果です。「不安を感じてはいけない」と思えば思うほど、消えない不安に対してさらに焦りが生まれてしまうからです。結果的に、不安がどんどん大きくなってしまうのです。
大切なのは、不安をゼロにすることではなく、不安がある状態のまま、それに振り回されない仕組みを作ること(付き合い方を変えること)です。そのための3つのステップをご紹介します。
ステップ①:不安を「分類」する
頭の中のモヤモヤを一度ノートにすべて書き出してみましょう。そして、それを次の2つに分類します。
- 自分でコントロールできること(例:病院の情報を調べる、生活習慣を整える、気分転換をする)
- 自分ではコントロールできないこと(例:明日の検査結果、治療にかかるトータルの期間)
「コントロールできないこと」をどうにかしようとエネルギーを使っていると、心はすり減ってしまいます。自分でコントロールができないと気づけば、抱えているモヤモヤと精神的な距離を置き、冷静な目を持つことができます。コントロールできないことは「この問題は考えても仕方のない領域にあるんだ」と線を引く練習をしていきましょう。
ステップ②:あらかじめ「範囲」を決めておく
不妊治療は、ゴールの見えないマラソンのようなものです。底なしの不安から心を守るために、「費用は〇万円まで」「期間はあと〇年」「何歳まで挑戦する」といった、自分なりの「許容できる範囲」をはじめに、あるいはパートナーと話し合って決めておくことをおすすめします。冷静さが無くなってしまったとき、「範囲」に対しても焦りや不安を感じます。その時は、自分ではコントロールできない問題が増えすぎているサインであると受け止め、自分1人で抱えず頼る選択を取って良いと言ってあげてください。
ステップ③:医療以外にも「相談先」を確保していい
不妊治療の専門医は「妊娠させること」のプロですが、あなたの「心のケア」のプロとは限りません。 心が置いていかれるような感覚になる時、不安を我慢し続ける必要はありません。薬に対する不安も含めて、精神科や心療内科の医師、カウンセラーなどの専門家への相談をしておくことが大切です。現在は、母体や赤ちゃんへの影響を最小限に抑えた薬の処方や、カウンセリングがメインの治療など、様々な選択肢があります。また、高い専門性が求められるケースであると、相談先に繋がるまでに時間がかかることもあります。諦めずに探していくことが重要です。
「未来の赤ちゃん」と同じくらい、「今のあなた」を大切に
不妊治療中の時間は、一見すると「停滞」や「ブランク」に見えるかもしれません。しかし、自分の価値観を見つめ直し、どう生きていきたいかを深く問い直すこの期間は、あなたの人生にとって決して無駄な時間ではありません。
あなたの心に、静かな「余白」を
未来の赤ちゃんのために一生懸命になる姿は、とても尊いものです。 けれど、どうか忘れないでください。それ以上に大切なのは、今、ここにいる「あなたの心と身体」です。
私たちビューズは、あなたが治療という荒波の中で自分を見失いそうになったとき、ふっと息をつき、一歩引いて「これからの人生の眺めかた」を一緒に整えるための、サードプレイス(第3の場所)でありたいと考えています。
ここは、何かを達成しなければならない場所ではありません。今のあなたのままで、少しだけ重荷を降ろして、自分自身の特性やこれからの生き方をゆっくり見つめ直す。そんな「静かな時間」が必要になったときの場所です。
独りで抱え込み、心をすり減らしてしまう前に。 まずは、あなたの心を最優先にケアしてあげてください。
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