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周囲/当事者の方へ

2026/04/13

環境変化に適応するコツ ~変化に備えて日常を「ポータブル」にしよう~

長期の休み、卒業、就職、引越し、あるいは周りの人の入れ替わり。 私たちの人生には、いくつもの節目が訪れます。そんな時、私たちはつい「新しい環境に馴染むための対策」や「新しい自分になるための努力」にばかり意識を向けてしまいがちです。

けれど、ビューズで皆さんと向き合う中で見えてきたことがあります。 心が疲れてしまったり、一度落ち着いた症状が再発してしまったりする本当の理由は、新しいストレスそのものというよりも、「今まで当たり前にできていたことが、無意識のうちにできなくなってしまうこと」にあるのではないか、ということです。

今回は、変化の波に飲まれそうな時こそ大切にしたい「心の守り方」について、一緒に考えていきましょう。

「無意識のNot to do」が心を削っていく

「Not to do」とは、本来「やらないこと」を意味しますが、ここでは「当たり前にできていた習慣が、環境の変化で(意図せず)できなくなってしまう状態」を指します。

私たちは毎日、無意識のうちに自分を維持する「あたりまえ」を持っています。

  • 朝、決まったブランドのコーヒーを飲む
  • お気に入りの柔軟剤を使って洗濯する
  • 寝る前に5分だけ好きな本をめくる
  • 職場で同僚に挨拶する

これらは、脳にとって「今日もいつも通りだよ、安心だよ」という安全信号です。しかし、忙しさや環境の変化によって、この小さなあたりまえの習慣が一つ、また一つと削られていくと、脳は「今は非常事態だ!」と警戒モードに入ってしまいます。このような事が、気づかないうちに私たちのストレス耐性を下げてしまうのです。

Aさんの事例:帰省という「非日常」に隠れた罠

ここで、ある方のエピソードをご紹介します。

Aさん : 年末、夫の実家へ帰省することになったAさん。ただでさえ気を遣う場所へ行くのはストレスでしたが、何より辛かったのは「自分のルーティン」が崩れたことでした。

義実家の洗面所では、いつも使っているスキンケアを広げるわけにもいかず、最小限の試供品で済ませるしかありません。すると、ストレスも相まって肌が荒れてしまいました。

鏡を見るたびに「いつもの私じゃない」と落ち込み、気分はさらに沈みます。夫に相談しても「たかが肌荒れくらいで大げさだよ」と理解されず、Aさんは深い孤独感と絶望感に襲われてしまいました。

Aさんを追い詰めた真の原因は、義実家での人間関係だけではありません。「いつものスキンケアで自分を整える」という、Aさんにとっての「あたりまえ」を奪われてしまったことにありました。

あなたにとっての「これだけは譲れないもの」は何ですか?

もし今、あなたが「なんだか調子が悪いな」と感じているなら、最近「できなくなってしまったこと」がないか、心に聞いてみてください。

「忙しいから、朝のコーヒーはコンビニで済ませている」 「結婚してから、お気に入りの入浴剤を使わなくなった」 「就活が始まって、趣味の読書時間を削っている」「職場異動をして、知らない職員に挨拶をしなければならなくなった」

他人から見れば「些細なこと」かもしれません。しかし、あなたにとっては、それこそが自分を自分たらしめる支えでもあるのです。

環境変化を受け入れたり、新生活や新しい取り組みに意識が向くのは素晴らしいことです。でも、そのために今のあなたが持っている大事な「あたりまえ」まで差し出す必要はありません。

「変化したら、自分の習慣はどうなるのか」を少し考えておくことで、ストレスに備えることができます。

実践:日常を「ポータブル(持ち運び可能)」にする

環境が変わっても、自分を守り続けるための具体的なアイデアをいくつかご紹介します。Aさんの事例のように、「自分を整える道具」を諦めない工夫が大切です。

  • お気に入りを小分けにする: Aさんの対策として、「いつも使っている美容液をミニサイズや小分け容器で持っていく」という方法があります。変化に対応できるよう準備しておくことで「どんな場所でも、私は私のままでいられる」という安心感を作ります。

ほかにもできそうな対策が無いか、考えてみましょう。

  • 「5分間の聖域」を予約する: どれだけ忙しくても、どれだけ人が入れ替わっても、「この時間は誰にも邪魔させない」という時間をスケジュールに組み込みます。
  • 自分にしか分からない「お守り」を持つ: いつもの香りのハンドクリームや、肌触りのいいタオル。五感に直接届く「いつもの感触」は、脳の警戒モードを解く強力なスイッチになります。

今のあなたを、辞めないでください

新しい場所へ行く時、私たちは「変わらなきゃ」と自分にプレッシャーをかけがちです。 でも、本当に大切なのは「今の自分が当たり前にできていることを、いかに手放さないか」ということ。

もし、周りの人があなたの習慣を「そんなことくらい」と笑ったとしても、あなたはそれを全力で守っていいんです。それが、あなたの心をストレスから守る、一番優しくて強い防波堤になるのですから。

卒業や就活、季節の変わり目。ストレスが高くなりやすい時こそ、どうぞ足元の「あたりまえの習慣」をギュッと抱きしめてあげてくださいね。

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