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プログラム紹介

2024/04/30

プログラム紹介:CBGTアプローチ(回避と再発の関係性)

ビューズでは、気分障害の方を対象にした社会復帰支援を行っておりますが、その主となるのは集団プログラムです。自己理解系、身体系、コミュニケーション系、ビジネス系と大きく4つのカテゴリーに分類され、多角的な視点で社会復帰に向けたトレーニングを受ける機会を提供しております。

自己理解系プログラムの1つに、自分の考え方/行動の癖を自覚し、変えていくことを目的とした「CBGTアプローチ」があります。CBGTはCognitive Behavior Group Therapyの略で、日本語に訳すと集団認知行動療法、となります。認知行動療法は心理療法の1つで、うつ病等の気分障害に対する再発予防に効果があることが証明されています。CBGTアプローチの内容は多岐にわたり、前回のブログでは「コーピング(意図的に行う気分転換)」という言葉の意味と重要性を解説しました。(ブログのURLを張り付ける)

今回は、「回避」という概念を紹介します。物理的に距離を置く、という意味ではなく、悲しみ、不安、苦痛などの「ネガティブな感情の体験を避ける」という意味です。少し難しく感じるかもしれませんが、気分障害の再発要因と非常に関係が深い概念のため、対策も含めてなるべく分かりやすく解説していきたいと思います。

回避の定義

「回避」という言葉を聞くと、人混みを避ける、嫌いな食べ物を注文しない、苦手な人と距離を置くなど、自分にとって嫌なものから物理的に距離を置くというイメージが浮かぶと思います。

今回は「苦手な人と距離を置く」を事例で考えてみましょう。

なぜ、距離を置くのでしょうか?

過去にその人と接した際、何かしら不快なことがあってネガティブな感情が湧き、「同じ思いをしたくないな」と学ぶからです。

認知行動療法では、距離を置いた後に生じるメンタルに着目し、回避を「ネガティブな感情の体験を避けること」と定義しています。ネガティブな気持ちになりたい人はいないので、回避するのはごく自然なことです。問題は、無意識に新しい体験を回避してしまうことです。

体験の回避=今気づいていない物事の別側面に気づく機会を失うこと

先ほどの「苦手な人を避ける」で考えてみましょう。

一度苦手意識が芽生えると、相手の嫌な側面にばかり目につくようになります。すると、なるべく視界に入れないように避けたくなります。従って、苦手意識も維持されます。もしこれが身近な人や職場の同僚・上司などであった場合、避けようとするとあからさまになってしまい、相手からの印象を悪くします。つまり、避けることで一時的には楽になるかもしれませんが、問題を先送りにしているだけで解決していません。ため込んだ感情はいつか爆発し、お互いを傷つけることになってしまうでしょう。

一方で、接する機会を作るうちに、相手の意外な側面を知って印象が変わる体験を誰でもしているのではないでしょうか?不愛想だと思っていた人が、感情表現が苦手なだけで本当は優しい人だったということはよくあることです。回避せず相手の様子を見ていれば、印象が変わる可能性が高まります。また、例え苦手意識が変わらなくても、できる範囲で接していれば徐々にちょうどいい距離感が見えてきます。

このように、体験を回避すれば今気づいていない物事の別側面に気づく機会を失い、少しずつでも向き合えば改善の糸口が見えてきます。

背景にあるのは「不安」

今度は、より再発要因にかかる「体調」というテーマで考えてみましょう。

ビューズに通っている方の中で「発症するような辛い体験をしたから、これからは無理せず過ごそう」と話される方が多くいらっしゃいます。例えばうつ病の場合、様々なストレスを経て発症に至り、心身の重い不調に悩んでこられたはずです。夜が眠れない、無気力でやる気がしない、好きだったことも楽しめない、人と接したくない、嫌なことばかり考える…うつ病の辛さは想像を絶するものであり、二度と同じ気持ちを味わいたくないはずです。だからこそ、「悪化することへの恐れ」は気づいている・いないに関わらず皆持っています。また、体調が悪いときに無理しない、というのは、風邪やインフルエンザなどの体の病気にかかったときに周囲から言われてきています。結果、「無理をしないようにしよう」という発想から、よかれと思って行動しないことを選ぶようになります。

うつ病の症状が一番重い「急性期」と呼ばれる状態であれば、「無理しない」は妥当な判断です。一方、症状の一番つらい所から抜けた回復期はリハビリが必要な段階です。しかし、体調の悪化に過敏になると、些細な心身の不調が気になり、「無理すると悪化するかもしれない」という不安から行動しない選択をしがちになります。これは「無理をしなかったから大丈夫だった」という誤った体験を重ねてしまうことに加え、「今日は何もできなかった」自分を責めてしまい、気分が下がることもあります。悪化させたくない不安が、逆にメンタルダウンを招いてしまうのです。

回避への対策

人への苦手意識にせよ、体調の不安にせよ、本当はこのまま抱えているだけでは良くないとみなさん理解しています。できることなら、人とのストレスに悩まず、体調の心配をすることなく社会復帰したいと願っているでしょう。

それでも動けないのは、回避していること=本人にとっての未解決な問題であり、どのように行動すればよいか分からないから、先送りにしているのです。

そこでビューズでは、回避への対策として①事実に基づいて整理する、②取り組めそうな行動を決める、という流れで対策を考えるようにお伝えしています。

①事実に基づいて整理する

回避した場面を振り返る際は、その時の状況と自分の思考、感情、行動を書き出します。書き出しには、事実と思いこみを分離する効果があり、客観的に振り返ることができるようになります。

例)

•状況:朝起きたら眠気が強く残っている

•思考:「この状態で無理すると悪化するかもしれない」

•感情:不安

•行動:自宅で横になって過ごした(回避)

このように書き出してみると、回避には思考の影響が大きい事が分かります。

その上で、その時の思考が妥当だったのかを事実を基に検討します。過去を思い返せば、多少眠気があっても動いている内に眠気がなくなった経験や、自宅で昼寝をしてしまい余計に夜眠れなくなった体験があったことに気づけます。また、いくつか事例を整理していると、自分が回避しがちになる癖も分かってきます。

②取り組めそうな行動を決める

事実に基づいて整理した結果、回避せずに踏み出した方が妥当という判断になったら、次は具体的にどうするかを考えます。体調については、実際無理をしすぎて悪化する可能性もありますので、どのくらいの負荷をかければよいのかが迷いどころです。

ポイントは、整理の時と同じように過去の事実を基に考えることです。負荷をかけても大丈夫だった場面、逆に悪化した場面を両方検討し、「どのくらいの状態なら、どのくらいの負荷をかけられるか」を具体的にします。1人で考えるのは大変なので、ビューズではスタッフや他の利用者の方と相談しながらアイディアを出していきます。

いかがでしたでしょうか?

今回は「体調」というテーマを事例に考えていきました。それ以外にも、自分の意見を言うのをやめる、苦手な仕事を後回しにする、転職の決断を先延ばしにするなど、様々な回避があります。いずれも難しい問題で、仮に自分が回避しがちになっていると気づいても、1人でどうにかしようとするのは難しいものです。ビューズでは、相談できるメンバーさんや支援員がいます。1人で悩まず、ビューズの環境を活かして一緒に考えていきましょう。

認知行動療法は奥が深く複雑ですが、今後も皆さんのお役に立つ情報をかみ砕いて解説し、発信していきます。

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